コラム

20代でも尿漏れ?年代別原因と自分で治す対策11選

女性特有のお悩みはたくさんありますが、その中でも人に言えないのが尿もれ(尿失禁)ではないでしょうか?でも実は40代以上の女性の3人に1人は尿もれ経験者ともいわれています。そしてその多くがセルフケアで治すことができる軽いもの。

加齢のせいとあきらめないで!10代、20代でも悩んでいる女性は多いのです。自分の尿もれの原因を知って自分の力で治すケアをしてみませんか?

尿漏れと年代別の原因

自分の意思に反して尿が出てしまうことを尿失禁(尿漏れ)といいます。

尿失禁というと高齢で体が動かなくなってから・・というイメージがありますが、実は小さな子どもから10代、20代、30代、40代以上とそれぞれの理由から多くの方が経験しているトラブルなのです。

  • 10代以下は排尿機能が未発達なため
  • 20代30代は出産で骨盤底筋群が傷ついたため
  • 40代50代はストレスと女性ホルモンの変化によるもの
  • 60代以降は運動不足と加齢によるもの
  • 70代80代は手術の後遺症や認知症、運動機能低下によるもの

が多いようです。

女性特有の尿もれは3人に1人?あなたはどのタイプ?

  • 咳、くしゃみ、大笑いをしたとき →Aタイプ
  • 重いモノを持ったとき →Aタイプ
  • 階段の上り下り、イスから立ち上がったとき →Aタイプ
  • なわとび、ジャンプ →Aタイプ
  • 突然行きたくなってトイレに間に合わない →Aタイプ
  • 水仕事や冷たいものに触れたとき →Bタイプ
  • トイレの回数が多い(頻尿1日10回以上または夜間2回以上) →Bタイプ
  • 尿路感染症をおこしたことがある →Bタイプ
  • 尿が出にくく残尿感がある →Dタイプ
  • 気がつかないうちにもれている →Dタイプ
  • 歩行障害がある →Eタイプ
  • 寝室からトイレが遠くて間に合わない →Eタイプ
  • 認知症がある →Eタイプ

Aタイプ:腹圧性尿失禁~くしゃみと同時に・・

くしゃみ、咳、大笑い、なわとび、ジャンプ、重い荷物を持ち上げた時などに尿がもれてしまうのが腹圧性尿失禁です。日本泌尿器科学会によると女性の4割をこえる2000万人以上が悩まされているタイプです。

腹圧性尿失禁の原因~内臓が体の外に出ないように支えているのは筋肉だけ?

女性の骨盤は出産ができるように男性よりも広くなっていますが、赤ちゃんを育み大きくなった子宮や内臓を支えるのは、実は骨盤底筋群という筋肉だけです。筋肉だけで支えているのですからどれほど大変なことかおわかりだと思います。内臓が外に出ちゃったら恐ろしいですよね?けれども子宮が外に出てしまう子宮脱といった症状も実際にあるのです。なぜなら骨盤底筋群が出産で傷ついたり、加齢で緩んだりすることで、支えきれなくなってしまうからです。これと同じ理由で、尿道括約筋を含む骨盤底筋群が衰えたために、くしゃみなど腹部に力が入った瞬間に尿がもれてしまうのが腹圧性尿失禁です。

出産、運動不足、肥満、便秘、イスの生活、冷え、加齢などが大きな原因です。

Bタイプ:切迫性尿失禁~水に触ったら急な尿意が!トイレまで間に合わない・・

冷たい水に触ったり、ドアノブに触れた瞬間急に尿意を感じてトイレにかけこむような状態で、それが間に合わないと尿もれにつながってしまうのが切迫性尿失禁です。どのタイミングで尿意がくるかわからないので、電車や車での長時間の移動が怖くなり、旅行などを控えてしまう方が多く、QOLの低下につながってしまいます。

切迫性尿失禁の原因~膀胱と脳のコミュニケーションエラー?

尿が膀胱に150ml程度たまると、その情報が脳に伝わり尿意となります。でも、膀胱がいっぱいにたまるまで、すぐに排尿の指示は出しません。自律神経の交感神経を優位にして膀胱に尿をためて尿道をきつく締めて尿がもれないようにしています。尿が400ml程度に増えて膀胱にいっぱになると強い尿意となり、今度は副交感神経が優位となって筋肉を緩め排尿となります。この「満杯になりましたよ~」という合図がうまくコントロールできず、ほんの少し尿がたまっただけで尿意を感じ、何度もトイレに行くようになるのが頻尿で、急に強い尿意がきてトイレに間に合わずもれてしまうのが切迫性尿失禁です。

過活動膀胱~膀胱が硬くなる?!

尿をためておく膀胱が加齢により硬くなって、尿をたくさん貯めておけなくなり少しの尿量でも膀胱が勝手に収縮してしまうのが過活動膀胱です。

病気により筋肉のコントロールが難しい場合

脳卒中や脊髄損傷など神経の問題で上手く伝わらなくなってしまった場合や、男性では前立腺肥大、女性では子宮脱、膀胱瘤など骨盤臓器脱、手術などにより尿道括約筋や骨盤底筋群がうまくコントロールできないときも切迫性尿失禁につながってしまうこともあります

排尿機能が未熟な年齢は

2,3歳から自分の意識で尿を我慢したり、トイレで出したりすることができるようになってきます。10歳くらいまでは、排尿機能が未熟なためにおこる「おもらし」は、誰でも経験があると思います。機能の問題というよりは脳と膀胱が連携プレーの経験不足なのです。10代後半、20代になっても尿漏れがある場合は冷え、運動不足、ストレス、寝不足が大きく関係してきます。規則正しい生活をしているのに尿漏れが続くようなら腎臓や膀胱の機能に問題がないか検査に行くのもおすすめです。

Cタイプ:混合性失禁~両方あるある!

前述の腹圧性尿失禁Aタイプと切迫性尿失禁Bタイプの両方の特徴があるタイプです。尿漏れのことばかり心配していると、トイレの場所ばかり探したり、緊張しすぎたりして尿意がわからなくなってしまうこともあります。

Dタイプ:溢流性尿失禁~出したい時は出ないのに・・

自分で尿を出したいのにトイレでは出せないけれど、自然にもれ出てしまうのが溢流性(いつりゅうせい)尿失禁です。

溢流性尿失禁の原因

これは排尿障害を伴う症状なので、病気が関係してきます。男性では前立腺肥大、女性では子宮脱、膀胱瘤など骨盤臓器脱や子宮、卵巣、膀胱などの手術後に。もし手術などしていなくて心当たりがあれば恥ずかしがらずに病院で検査してもらいましょう。

Eタイプ:機能性尿失禁

排尿の機能は問題ないけれど、足が悪くてトイレまで間に合わなかったとか、認知症でトイレの場所がわからないため間に合わなかったというような場合です。

機能性尿失禁の原因

この場合は、排尿機能に問題がないので、トイレと寝室を近くするなどの環境を整えることと、介護用品を活用してストレスのない工夫をすることが大切です。

身体機能の低下
  • 足に障害がありトイレに間に合わない
  • 手に障害があり下着を脱ぐのに間に合わない
精神機能の低下
  • トイレがわからない
  • 尿意がわからない

 

あきらめないで!女性の尿漏れ2大原因の対策は温めて筋トレ!

①お尻のキュットレ~ぽっこりお腹も改善!

尿が通る尿道の筋肉は平滑筋という種類で、自分の意思で動かすことができません。けれども尿道の出口にあたる部分の外尿道括約筋だけが横紋筋という種類の筋肉で自分の意思で動かすことができます。この外尿道括約筋を緩めたり閉めたりする筋肉トレーニングが尿漏れ対策に効果的なのです。地味な体操ですが尿漏れ対策の特効薬です。

  1. 両脚の間の部分の底をひきあげるイメージで力を入れ5秒キープしたらゆっくり息を吐きながら緩めていきます。
  2. しゃがんだ状態で、肛門→膣→尿道の順番に一つずつ閉めるイメージをします。

②お風呂で温める

尿道括約筋を含む骨盤底筋群が伸びたり縮んだりをスムーズにするためには、筋肉そのものを健康な状態にすることが大切です。筋肉は一方向に動くことは得意ですが緩んだものを元に状態に戻したり、縮んだものを伸ばしたりすることは苦手なのです。ですから骨盤底筋群を温めることで血流を増やし自然な状態に戻してあげることが有効です。ふくらはぎが張ってしまった時にお風呂で温めると良い状態に戻る感じと似ています。

③座浴で温める

座浴とは、大きめの洗面器にお湯をはり、お尻だけお風呂に入るものです。座浴のいいところは、体に負担をかけずに温めたい時に何度でも入れるところで、身体的に問題がある場合や、介護中でもとりいれやすいことです。また、一人ずつお湯をかえるので、入浴剤をいれて楽しみやすいこともメリットです。膀胱炎があるようならカモミール浴も効果的。

④ホットタオルで温める

濡れタオルをレンジで40秒ほど加熱してビニール袋にいれたホットタオルパックをイスの上に置き、その上に座るだけで骨盤底筋群を温めることができます。ダイレクトに筋肉を温めることができることと、お金をかけず手軽に何度でも実践できることがメリットです。骨盤底筋群だけでなく、膀胱をコントールする下腸間膜神経節がある腰神経(ウエストから手を下に当てた部分)を温めるのも良いでしょう。ホットタオルパックは薄くて形が自由にかえられるので、ハラマキにはさんで腰椎にあてることができるのもメリットです。→ホットタオルパックの作り方はこちら。使い捨てカイロを貼り続ける方もいらっしゃいますがホームケアには向きませんのでご注意を!→使い捨てカイロの冷え性ケアが危険な5つの理由

⑤お風呂のイスを使わない

出典:風呂を巡る歴http://www.geocities.jp/tsukaguchiopen/essay/e1004_1/e1004_1.html

江戸時代のお風呂の画像・・見ての通りイスを使っている人なんていません。画面一番右下の女性の姿勢が骨盤底筋群、内転筋群をストレッチするのに最高な姿勢。お相撲さんの姿勢ですね。昔の人は自然と生活の中で筋肉トレーニングをしていたのです。これは股関節、ひざ関節、足首の関節に痛みが出ると難しい姿勢です。そのため高齢者のための入浴イスは欠かせないものですが、子どもの頃からイスに座らせる必要はありません。毎日のお風呂でイスを使わない、という選択をするだけで将来の尿もれ予防にもなるのです。

⑥床でしゃがんで洗濯物をたたむ

皆さんは洗濯物をたたむとき、どんな姿勢でやっていますか?ソファに座って?畳に横座り?毎日のほんの短い時間ではありますが、洗濯物をたたむ時はお相撲さんポーズ(上図の右下の女性・カカトを床につける)で骨盤をたてて骨盤底筋群を閉める意識でたたんでみませんか?内ももや腰が硬さが自分すぐわかります。小さな積み重ねが尿漏れ改善につながります。

⑦和式トイレを積極的に使う

イスに座るライフスタイルになって日本人の骨盤底筋群は衰えてしまいました。以前は暮らしの中でしゃがむことがおおかったので、自然と骨盤底筋群が鍛えられていたのです。トイレでさえ座って快適にできるようになり、ますます「閉める」という意識をする必要がなくなってしまいました。外出先で和式トイレを見つけたら積極的に使ってみることをオススメします。

⑧その場なわとび

なわとびは見た目よりも腹圧がかかる運動です。運動の前にトイレに行って膀胱をカラにしてから、その場でなわとびを100回とびます。なわは使わなくていいのです。なわとびを持っているイメージでジャンプすればOK。このときできるだけ骨盤底筋群をひきしめるようなイメージをしながらおこなうと効果的です。はじめは心配だった方も、続けるうちに問題なく飛べるようになり、自信がつきます。

⑨トイレは前から後ろへ拭く

トイレの紙の拭く方向を間違えて後ろから前へ拭くと、肛門付近の菌が尿道へ入り込み膀胱炎や尿道炎をひきおこす可能性があります。膀胱炎は頻尿に結びつき、切迫性尿失禁へとつながってしまいます。女性ならではのお約束ですから、娘さんにも必ず教えてあげてください。

⑩ストレスケアをする

排尿をコントロールするのは脳の視床下部にある自律神経です。自律神経は体のあらゆる状態を正常状態に維持するために24時間休みなく働いています。この視床下部では自律神経だけでなく、ホルモンのコントロール、免疫のコントロールも司っていて大忙し。忙しいとミスが増えるのはしょうがないことですよね。特に女性ホルモンの大きく変化する更年期には、ホルモンの対応だけでも四苦八苦。さらに物理的ストレス(気温差など)化学的ストレス(添加物など)生物的ストレス(ウィルス、花粉など)、心理的ストレス(怒り、不安など)が重なれば、体調に変化が出るのは当然とも思えます。尿もれは「ストレスが多すぎますよ」という体のサインなのかもしれません。心当たりのあるストレスの源を少しずつ減らしていけたらいいですね。

⑪冷え性を改善する

冷えは万病の元。尿もれも冷えが深く関係しています。前述の視床下部の大きな役割として人間は体温を一定に保つ、という仕事があります。体温が下がることは死につながります。命を守るために体温を一定に保たせるのが人間にとって最重要課題なのです。体が冷えていると感じると体内の水分を排出して体温を保とうとしますので、寒い場所に行くとトイレに行きたくなりますよね。そんなふうに常に体温を調節している視床下部ですから、体温を乱高下させない工夫をするだけでも、大きな効果があるのです。熱をつくる代表選手は筋肉なので体を適度に動かすことと、冷えない服装や飲食物に注意することも効果的。冷え性を改善することで、尿漏れも、女性ホルモンに関するトラブルも、風邪をひきやすいなどの免疫の問題も解決できる可能性があるのです。とはいえ、冷え性の原因も人それぞれ。自分や家族の冷えのタイプを知りホームケアできるようになりたい方はこちらへ

まとめ

女性の尿漏れ(尿失禁)の二大原因は腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁。

どちらも骨盤底筋群や膀胱括約筋、膀胱そのものの筋肉の衰えが関係しています。

逆にいうと、衰えが原因なら、自分で治せるということ!

尿漏れはあきらめずに、地道な筋肉トレーニング(キュットレ♪)と積極的に筋肉を温めること。

そして万病の元である冷え性を改善し、ストレスマネージメントをすること。

尿漏れという体の声を聞き流さずに、今からケアをすることで将来のQOLは向上します。トイレが心配だから旅行に行けないなんて、寂しいですものね。

これからも、膀胱炎を併発している時のケアや体の温め方のケアなど、軽症の場合は薬に頼らずに自分でケアできるような情報をどんどんお伝えしたいと思っています。

ベビーの頃から高性能のオムツをつけ、和式トイレもできなくて良しとされ、しゃがむ生活もしていない子ども達は、将来尿漏れの可能性がとても高いです。

これを読んでくださっている皆さんが、自分の身体を通して経験したことを子ども達に伝えてくださることを願っています。

 

文:日本エナジーハンド協会 宝官明子