タッチケアはキモチイイ♪笑顔が増える♪血圧が下がる♪

タッチケアを高齢者と楽しむと健康効果を実感するけれど、認知症に有効だという具体的な理由は?という疑問にお答えしたいと思います。

認知症とは

①日常生活に支障をきたす記憶力の低下と、判断と思考の能力低下

②意識の混濁がない

「情緒不安定」「易刺激性」「無関心」「社会行動における粗雑さ」のうち1項目以上あてはまる

④①の症状が明らかに6ケ月以上存在して確定診断される

出典WHO国際疾病分類第10版より

※易刺激性(いしげきせい)とは:さいなことをきっかけにして周囲に対して不機嫌な態度で反応しやすい状態のこと

タッチケアが認知症予防に効果的な理由

①記憶力の低下を予防する~ストレスホルモンの抑制

脳の中で記憶を司る海馬は、ストレス過多になるとコルチゾールなどのストレスホルモンによって傷ついてしまうことがわかっています。タッチケアで幸せホルモン・オキシトシンが増えるとコルチゾールの分泌が抑えられ、海馬を守ることにつながります。以前は脳神経は障害されると再生しないと言われていましたが、現在は海馬の神経が高齢になっても新しく誕生することがわかってきました。何歳になっても好奇心をもち自分で行動することが、脳の若さを保ち記憶力の低下を防ぐことができるのです。

②判断と思考能力低下を予防する~一対一のコミュニケーション効果

考える力は変化の少ない日常だと、加齢によって徐々に衰えてしまいます。脳はいつも新しい変化と刺激を求めているのです。脳にとって変化に富んだ心地良い刺激とはなんでしょうか?それは対人コミュニケーションです。タッチケアは一対一のコミュニケーションで、視線をかわし、表情を読み、おしゃべりしながら手を動かし、肌の感覚に集中するという複雑で大量な情報を脳に与えることができます。そして何よりもそれが心地良い脳の喜ぶ刺激なのです。⇒寝たきり予防!運動より禁煙より?健康寿命を伸ばす最強の条件

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③情緒不安定、無関心、怒りっぽいなどネガティブな感情を予防する⇒扁桃体を鎮めるオキシトシン効果

不安や恐怖の感情を司るのが脳の扁桃体です。扁桃体が興奮するとネガティブな感情のコントロールが難しくなります。理由もなく怖い、イライラするなどの情緒不安定につながってしまいます。タッチケアの心地良い刺激によってオキシトシンが増えると、この扁桃体の過剰な興奮を静める効果を期待できます。幸せホルモン・オキシトシンにはポジティブにコミュニケーションを楽しもうという社会性の向上効果も認められていて、それが活動を促し認知症予防へのポジティブサイクルを生み出します。

 

なぜタッチケア~肌のコミュニケーションが必要なのか

コミュニケーションは電話やLINEなど直接対面しないものもありますし、計算やクロスワードパズルなど一人でできる脳トレーニングもたくさんあります。そんな中でなぜ目の前にいる人としか楽しめないタッチケアが大切なのでしょうか。

皮膚は最大の感覚器である

人間にとって皮膚は最大の感覚器。体重の6~7%程度もあると言われています。目の見える範囲は限られていますが、皮膚は360度全方向のわずかな刺激も受け取ることができる素晴らしい能力を持っています。タッチケアでは、いつも自分では触れにくい背中や腰、肩なども積極的にふれて全身からの刺激を脳に送ることになるのです。

肌への優しく温かい刺激が幸せホルモン・オキシトシンの分泌を増やす

ストレスホルモンの血中濃度を下げ、血圧と心拍数も下げ、対人への愛着と信頼を増す働きのあるオキシトシンが増えることで、認知症予防を含むたくさんの健康効果がもたらされると考えられています。そのオキシトシンを増やす効果的な方法が肌への優しいタッチなのです。どんなにすぐれたマッサージチェアでも人の手にかなわないように、血の通った温かく柔らかな肌がふれあうことで、オキシトシンが増えるのです。

目の前の現実であるという実感

肌にふれるということは、今この瞬間に目の前にいる、という疑いようのない事実です。でも触覚以外の感覚は、実際には今その瞬間にいなくても共有できるものです。実は同じ内容であっても、画面越しのコミュニケーションより対面のコミュニケーションのほうが、脳への刺激も大きく理解度が高いということがわかっています。表情を読む、言葉を聞いて内容を判断して自分の考えをまとめて、相手によりよく伝わるように言葉を選んで伝える。画面越しにおこなわれた場合でも充分脳にとっては刺激になるように思いますが、やはり対面でのやりとりはかないません。誰かに会うと思えば、髪も整え、洋服もおしゃれして、口臭がしないように一生懸命歯磨きしてお化粧しますね。電話する時にそこまで気を使わないのは、情報量が圧倒的に違うことを私達は無意識に知っているからです。

まとめ

私達が母親から生まれるほ乳類である限り、命と直結する大切な肌の温もり。何歳になっても優しくふれることで、私達の健康は促進されます。

憶力低下・判断、思考力低下の予防、情緒の安定、血圧と心拍の低下など認知症予防が一対一の温かいコミュニケーションであるタッチケアをおこなうことで期待できる理由についてご理解いただけたでしょうか?

その他にも、リラックス効果による免疫力の向上、社会性の向上、やる気アップなど、素晴らしい健康効果が期待できるタッチケア。(→タッチケアとは?ベビータッチから介護タッチまで年代別タッチケア)

日本エナジーハンド協会では、認知症予防のために高齢者の皆さんがケアギバー(施術側)になることで、まわりの方にタッチケアをおこない「人の役にたつ自分」「ありがとうを言われる存在」であり続けることを応援しています。

最期まで「ありがとう」を言われる存在になれちゃう花まるタッチ

受ける側よりも、施術側のほうがオキシトシンの増える量が多い、という研究データもあります。自分から積極的に誰かを喜ばせるために行動すると、オキシトシン以外にもたくさんの幸せホルモンが分泌されます。

何歳になっても、誰かを喜ばせられる存在であり続けること

それがタッチケアを通してひろがっていくように、地道に実践を続けてまいります。そして、介護者の皆さんが日頃のお世話の一部にタッチケアをとりいれることで、ご自身の健康効果が得られることを心から願っています。花まるタッチ®ケア講座では、1日に講習でご家族と楽しむことができるようになります。

文:日本エナジーハンド協会代表 宝官明子