1)Energy Hand®のタッチケア~心氣体のお話

タッチケアとマッサージの違いとは?

タッチケアとマッサージ、施術風景を見てもあまり違いを感じませんよね。タッチケアは弱くなでるだけで、マッサージは強圧でしっかりもみほぐすもの、というイメージがあるかもしれません。でも優しいタッチのマッサージもありますよね。

いったいタッチケアとマッサージの違いって何?というあなたへ、わかりやすくまとめてみました。

目次

  1. 対象の違い
  2. 目的の違い
  3. 技術者のポリシーの違い
  4. 歴史の違い
  5. 資格の違い
  6. Energy Hand®のタッチケア
  7. まとめ

1.対象の違い

日本でマッサージといえるのはあん摩マッサージ師の国家資格を保有した施術者、または医療従事者によるリンパマッサージです。どちらも対象は、不調を治したいと考える患者です。

それに対してタッチケアは不調の有無は関係ありません。心氣体ともに充実して健康な人も、人生のさいごを迎えようとしている人も、心地よい時間を過ごしたい、リラックスしたいすべての人が対象です。

2.目的の違い

タッチケアとマッサージの大きな違いは、何に働きかけるのか?というポイントです。

両方とも体にふれるという行動は同じなのですが、働きかける目的が異なります。

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タッチケアは心に働きかけ、体を含む健康を促進するもの。

マッサージは体に働きかけ、心を含む健康を促進するもの。

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2-1 タッチケアは心から体へ

タッチケアは、肌に優しくふれることで感覚神経に働きかけ、幸せホルモンを増やすことを目的としています。例えば、心地よさを感じることで増える幸せホルモンの代表としてオキシトシンがあります。オキシトシンによって愛着形成や心の安定、体の成長促進などを期待することができます。

2-2 マッサージは体から心へ

マッサージは不調を改善するために、主に筋肉の緊張を緩め、血液やリンパ液の循環を促します。痛みや不快な症状がなくなることで、心が安定し前向きになることも多いでしょう。

3.技術者のポリシーの違い

治療を目的とするマッサージでは、マッサージ師も患者も施術時間に心地よさを求めていません。

体が故障して治療が必要な時は、治療自体に痛みが伴うことは多々ありますが、正常な機能を取り戻すためには必要なことです。

しかし、タッチケアの場合痛みを伴う施術はしません。タッチケアでは、ギバー(施術者)もレシーバー(ケアを受ける人)もお互いに心地よさを感じることを大切にします。

タッチケアの場合は、ギバーもレシーバーも対等です。お互いにリラックスすることで幸せホルモンを増やすことができるため、ギバーは自分の健康管理、心の安定や幸せ度を上げることが重要になります。

4.歴史の違い

4-1 マッサージの歴史は古代から

あん摩マッサージの歴史を考える時、あん摩とマッサージをわけて考えます。

あん摩は着衣のままタオル越しに施術する技法で、古代中国でうまれ、日本には三世紀頃渡来しました。江戸時代には小児あん摩も盛んにおこなわれていたようです。

マッサージは肌に直接ふれる施術法で、紀元前4~5世紀頃の古代ギリシャでは、ヒポクラテスが「医師たるものは医術についてのあらゆる学理とともに、マッサージも修得せよ」と推奨していたといいます。

古代ローマでは大浴場(テルマエ)が社交場だったため、貴族たちは一日に何度も入浴し、贅沢な香油を全身にぬる(現在のアロマボディトリートメントのような)ことが楽しまれていたようです。治療ではなく慰安としてのマッサージもすでに古代からおこなわれていたということですね。

このように人が人にふれて健康を促進する手当は古代からうけつがれてきたものですが、心の健康を促進するためのタッチケアが研究されたのはまだ歴史が浅いと考えられます。

4-2 タッチケアは近代になってから

人間はスキンシップなしには生きることができない、ということは神聖ローマ帝国皇帝フリードリッヒ二世(1194~1250)の残酷な実験で明らかになりました。その後、アメリカの心理学者ハリー・ハーロウ(Harry Harrow/1905-1981)のアカゲザルの赤ちゃんの実験やイギリスの医学者ジョン・ボウルビィ(John Bowlby/1907-1990)の愛着理論などにより乳幼児期にふれあいにより形成される特定の大人との愛着形成が、大人になってからも他人とのコミュニケーション方法に影響を及ぼすことが示されました。

時を経て1997年の世界小児科会議でアメリカ・マイアミ大学の心理学者ティファニー・フィールド(1942-)が早産児へのタッチセラピー(接触療法)の研究成果を発表して注目をあび、1998年頃から日本でも日本タッチケア協会によって赤ちゃんへのタッチケアが普及されています。

高齢者向けのタッチケアはスウェーデン発祥のタクティールケア®が有名ですが、こちらも日本で普及してきたのは2000年以降と思われます。つまりタッチケアの歴史はまだ浅く、これからさらに発展していく分野なのです。

4.資格の違い

日本でマッサージをおこなうには、あん摩マッサージの国家資格が必要です。筋肉、血管、リンパ管といった目にみえる臓器だけでなく目にみえない氣の通り道である経絡に対しての施術もおこなうため、東洋医学に関する幅広い学びが必要とされます。専門の学校で3年間学んだあと国家資格で合格する必要があります。痛みや不調に関しての治療は保険の対象になるものも多くあります。

それに対してタッチケアには公の資格制度はありません。治療ではなく心地よさを目的とするので解剖学や東洋医学の深い知識と技術はそれほど必要ではありません。しかしながら、初対面の人であっても、穏やかに愛をもって直接肌にふれるということは、豊かな人生経験と寛容さが必要であり、勉強以上の難しさが伴うこともあります。経験を積むことで、治すのではなく一緒に心地よく時を過ごし心によりそうということが少しずつできるようになるのです。

5.Energy Hand®のタッチケア

Energy Hand®(エナジーハンド)のタッチケアは、幸せホルモンを増やすタッチケアに、血行と氣めぐりを促進するケアを組み合わせたオリジナルのリラクセーションの技術です。

あん摩のように着衣の上からタオル越しでおこなう技術と、マッサージのように肌に直接ふれるオイルトリートメントの技術があり、専門の学びが必要なため、独自の資格検定を設けています。

Energy Hand®では、赤ちゃん向け、高齢者向けと対象を分けずに、0歳から100歳まで年齢性別を問わず、幸せホルモンを増やすことができるのが特徴です。2011年の東日本大震災をきっかけに研究をはじめて2016年に法人化し、2023年現在も多くの認定者が誕生しています。

6.まとめ

タッチケアとマッサージの違いはおわかりいただけましたか?

タッチケアは心、感覚、神経に働きかけて幸せホルモンを増やすことでストレスホルモンが減り、心の安定と体の痛みや不調も和らぐ効果が期待できます。

マッサージは筋肉、筋膜、リンパなどに働きかけて不調を改善することで、痛みや不安が減り、心も軽く前向きになる効果が期待できます。

タッチケアにおいて最優先されるのは「心地よさ」なので、ギバー(技術者)とレシーバー(受ける人)の信頼関係が大切であり、お互いにリラックスすることが必要で、それも治療的なマッサージとは大きな違いです。

タッチケアは”病める時も健やかなる時も”人生のどんな場面でも温かい手でよりそうことができる技術です。

タッチケアが日常の当たり前になるように、これからも誠実に普及活動に努めてまいります。

一般社団法人日本エナジーハンド協会 代表・宝官

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出典:発達心理学(全国社会福祉協議会)/やさしいタッチケア(日本タッチケア協会)/月刊教育と医学(第63巻7号2015年7月巻頭随筆・上地安昭